Retrospective 2023
買ってよかったもの
全般
Hypervolt2 Pro
筋肉を弛緩させることで血行を良くしたり柔軟性を高めてくれるデバイス.筋トレ前に硬い部位に使うと詰まりを抑えてくれたり,単純に肩こりにも使える.
shopetanが買ったものはフラグシップモデルだけど同時に本体重量も重く結構持つのが大変かもしれません.男女ともに軽いモデルをおすすめします.
Hypervolt 2 Pro | ハイパーボルト 2 プロ – Hyperice Japan
本
- 組織行動の心理学: 組織と人の相互作用を科学する (サーベイ論文読んでる感覚に近い.shopetanは辞書的な使い方なので,実感値が伴わないと微妙かも.)
- ラディカル・プロダクト・シンキング イノベーティブなソフトウェア・サービスを生み出す5つのステップ(文化もプロダクトと同じように改善できるという主張で,当時は納得した.)
- アジャイルリーダーシップ: 変化に適応するアジャイルな組織をつくる(著者のzuziさんがシステムコーチングを推してるのを知ってたのでagileとの関連付け方を知りたくて読んだ.)
- ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道(活動のアンチパタンとそれを解決していくプラクティスが多いので導入後のティーチングの文脈で役立つと思う.)
- Leading Beyond Change: A Practical Guide to Evolving Business Agility (変革とか推進などのワードに敏感になる.マインドセットの観点ではすごく良い本だった.)
- プロダクトマネージャーのしごと 第2版 ―1日目から使える実践ガイド(「そうだよね」が大量に書かれてる.)
- クルーシャル・カンバセーション ーー重要な対話のための説得術(相当良い本でした.緊張感の高い対話に始まり意思決定の方法まで言及がされているので,shopetanにとっては読む価値が高かった.続編も読んだ.)
- GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた(リモート云々よりも行動規範,意思決定方法の定義だったりValueに関する位置づけなど,考え方にGAPが出そうな項目が整理されていて読む価値がある.)
- Your brain at work(いい働き方をするための脳の仕組みの話.物語調なので好みが分かれるかも.)
- STAFF ENGINEER(ここのインタビューなどで推薦されている本を何冊か読んだ.ロールモデルが複数提案されていて進みたい方向がわかるのは良い.)
- Dynamic Reteaming(チームの物理的な変更の話.多様な理由でチームの変更は避けられないという現実的な立場に基づいて書かれている.)
漫画
- 新しい君へ(SFものが好きだったら是非.)
- マチネとソワレ(最初は何見せられてんだ…って思ってたんですが尻上がりに面白くなってる.)
- Thisコミュニケーション(癖が強いが好きな人はきっと好き)
- カテナチオ(主人公が努力全振りしてて,かと言って全然才能があるものとは壁があるって感じで続きが楽しみになる.)
投資/サブスク系
- ジム(多忙になって疎遠.)
- Bizmates(これも多忙になって疎遠.良い先生と話すと学びは多い.)
- A-CSM研修(このトレーナーの方が開催してなければ行こうとすら思わなかったので,心から行けてよかった.詳しく知りたい方は話しましょう.2月もあるみたいなので行ったほうが良いです. https://training.tech-kai.com/tech/user/courses/316)
- ORSC基礎(これは極めて好みが分かれる.コンセプトには共感する一方で理屈とか論理的みたいなところを軽く超えた感情的よりも深いなにかを探るアプローチなので,深淵です.)
個人的なこと
「SWE」としての関心が極めて薄れてきました.エンジニアとしての活動は大変楽しいのですが,より自分が貢献できる領域があるな~というポジティブなモチベーションに起因します.
一方で,年始からスクラムマスターという役割が社内で消え,多くのチームで価値を生まないと認識されてしまった事には心にダメージを受けています.
これは本来の職能としての期待が定義されず適当に運用された*1ことに起因しています.集団を変える打ち手の1つが塞がれ,正攻法が難しくなってしまいました.*2
チームや組織にとっての成果とは何か? 1つ1つの組織の活動は成果にコミットメントしているのか? を分析した時にまだまだ課題が認知されず改善点が多く眠っているなと感じるので,自分が諦めることは決して無いようにしたいですね.
shopetanに今必要なのは政治力なのかも知れません.人は必ずしも正しいことでは動かず,誰の発言かに応じたバイアスも無意識に掛かってしまうので,そういった習性もときに泥臭く活用出来ると良いなと思います.
スクラムマスターをして半年がたった
近況
こんにちは.
表題通りでレコメンデーションチームのスクラムマスターを昨年の6月からやっている.
以前はチームから出向という形で新規チームのTLをやっていたのだが,チームでのMVPが完成してML的な複雑性をほぼ持たないシステムになったのでTLを委譲し,shopetan自身はレコメンデーションチームにカムバックしていた.
shopetan.hatenablog.com
レコメンデーションチームはというと,ここ半年でチームメンバーが精力的に外部登壇や記事を公開している.
昨年の下半期ではチーム史上最高のKPI向上を果たしていて,チームメンバー全員がBe a Proであるが故の成果だが,チームとしてもワークするようになっているのを肌感でも感じている.
codezine.jp
engineering.mercari.com
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ai.mercari.com
近況の共有がてら,SMとしてやってきた事を3つ振り返っておこうと思う.
絶えず「課題に感じたこと」と「どのようなActionを実施するか」のログを残す
チームの状態はシステムとは比べられないほどに有機的なので,ある時点では課題と感じていても,また数日経過したある時点では課題ではなくなる可能性も高い.
これを踏まえて定常的にチームの観察とその時の思考をロギングし課題のリファインメントがいつでも出来るようにしている.
これはSMになった当初から行っている事で,今振り返ると運用やリスクを考慮するSWE的なマインドセットに基づくものなのかもしれない.
SWEとして振る舞っているとSystem Design Docなどを作成する過程で背景や目的,設計方法や代案などをdocumentベースで議論し意思決定をログとして残す事が当たり前になる.
Design Docのメリットは「Docsが必要な時に必要な議論が出来る最小単位」となっていて「Acition実施前に全体考察可能」で「Acitionの精度が高まり手戻りが減る」ことだと思う.
SMとしても「議論をし意思決定のログを残す」というところまでがセットであるべきで,アジャイルコーチやPO,TLなどが含まれる場で情報の共有と議論をするところまでは実施出来ると良いと思う.
これはチームの歴任のSMが共通のdocumentで継続的に議論しており,自分は良い習慣にタダ乗り出来た状態だった.
現在はアジャイルコーチが居なくなってしまったので客観的なFBを得れる機会がなくなってしまった.
議論をする事が減ったのでこれを踏まえてdocumentという体はやめた.
代わりにSMとしてのログは自前のカンバンに残し,気になったタイミングで課題追加 + 適宜優先度順位の見直しを実施してActionの優先順位付けなどを行っている.
documentと比較して検索性が下がって議論のフォーマットとしては不適切だが,今は各メンバーとの1on1内で議論をロギングし,課題は必要なタイミングでカンバンから共有するというスタイルで運用している.
課題を共通のものにする
SMとして課題を考えるとどうしてもSM目線では課題と感じていてもチームメンバーには腑に落ちないことも多々ある.
また,チームメンバー目線でもあるメンバーは課題認知していても別のメンバーは課題と認知しないケースがある.
「課題を課題と認知させぬ間に問題を解決し,気づいたらチームが生産的になっていた/働きやすくなっていた.」を実現できるのが守破離を体得しきったSMだと思うが残念ながら自分はまだそのようなフェーズに居ない.
まずはレトロスペクティブが機能的になるようにコミットメントしようとしていた.
当時のチームに対するSMとしての認知は,
- チームメンバーは起きた課題が対処できる
- 課題として共有され,共通化されれば対処のActuionが取れる
- 日々の問題を認知し修正する力はあるが,長い間,チームのプロセスや価値観などを議論してきていない
- プロセスの改善にフォーカスされない(課題の認知化が進んでいないor課題に気づけない)
1actionで解決出来る問題ではない事が明らかなので,昨年度は個別対処をメイン戦略として取った.
下記のものを実施した.
結論から言うと上記の状態から解決はしていない.経験を積んだだけの状態で,実力不足でプロセス改善の習慣化まで至っていない.
実施したフレーム自体は価値の高いものであるが何れもボトルネックがあり持続可能性に乏しいので,メリットとデメリットを理解して実施するべし.
現在はチームの現状に向き合った習慣変容と,Visionに基づく習慣変容の2軸で施策を実施している.これらもいずれ紹介したい.
1on1に基づきメンバーのpainをまとめたpain sheetの共有
needs, pain, solutionからなるシートで,1on1でチームメンバーの現状のpainを収集し,needsとして共通化,対処案などをまとめたもの.
特にSM就任初期に1on1で課題収集と言語化を進めて匿名化したものをメンバーに共有した.
Good
- チームメンバーが感じていた問題が一覧化出来る
- 他メンバーが課題に感じていなかったとしても共有が進む
Bad
- 1on1から共有まで莫大な時間がかかる
- 無数の課題が共有されるので関心が持たれない
- 優先度が分からない(個別に収集した故にフラットになってしまいActionを取りにくい)
Agile wheelのワークショップによるチームメンバー間の価値観の共有
Agile wheelについては下記の記事が詳しい.
一言で言うならチームメンバーがそれぞれ12項目について現状となりたい姿の評価を主観で行い,GAPなどを可視化する方法である.
dev.classmethod.jp
Good
- チームメンバーがそれぞれの項目に関する価値観を共有する機会になる
- チームで大まかな課題解決の優先順位付けが可能になる
- 複数のGAPを知ることが出来る
具体的には下記
- チームメンバー間のGAP
- 現状となりたい姿へのGAP
- (継続的に実施出来る場合)過去の評価と現状のGAP
Bad
- 準備に多少の時間がかかる
- 解釈が一意に決まらない,基準が主観によるものなので評価自体の正確性は少ない
happiness radarのワークショップによる開発プロセスに対する課題感の共有
表のフォーマットに対して一方の軸を感情(晴れ/曇り/雨),もう一方の軸を開発プロセス(Planning/Implementation/Release/Operation)としてチームの現状を評価してもらう.
下記のリンクではVote式になっているが,実施時は具体的な出来事やプロセスを各セルごとに記入してもらうようにした.
www.funretrospectives.com
Good
- 振り返るコンテキストをプロセスに集中できる
- 感情が軸に含まれる
感情を共有するのは通常の振り返りだと難しく,事象と結びつけて共有するのも同様に難しく,ツールで共有しやすい体が作れるのがメリットだと思う.
Bad
- 項目が大きく話が分散する
- コンテキストが絞られているがゆえに実施が適切なタイミングでないと関心にムラが生まれる
ワークショップに対する振り返りの実施
Agile wheel時やその他のレクチャー時に実施した.振り返りはチームが通常行っているフォーマット(START/STOP/CONTINUE/FEEL)で行った.
ワークショップ自体の価値があったか,プロセスが改善できるか,何に注力したいかなどを最終的に共通化出来る.
Good
- チームとしてフォーカスしたいところが言語化される
- 慣れたフォーマットなので実施コストが低い
- SMとしてのFBとして利用できる
Bad
- 全体を通して実施時間が長くなりがち
- 振り返りの振り返りになるので疲労する
日々の習慣を愛する(経験の可視化)
1年の最後に上記のログに基づいた,チームが積んだ経験の可視化を行い共有した.
フォーマットとしては,下記のようなものを盛り込んだ.
- 四半期ごとに各Scrum eventとそのGood/Badをまとめて共有
- Scrum event外の当時の課題と現在の状況の共有
- チーム自体の変遷(e.g. メンバー異動や体制変更)
- Q単位のチームの成果を祝う
昨年読んだ本で好きなエッセイがあり「チームに成長してもらうためのリーダーシップ」という章の中で「成長の可視化を手助けする」というものがある.
www.oreilly.co.jp
SWEとして働いていると,日々の活動がイテレーティブ型の開発スタイルになり,目の前の解くべき課題と成果として還元するための方法にコミットし続けることになる.
このような状況下では短期的な視点に集中しがちで,日々のイベントの中で行う「検査」と「適応」がその後のチームの習慣にどのような影響を与えているか実感できない.
上記の問題点から習慣は雪だるま式に積み重なってチームに良い影響を与えているということと,その裏では開発チームのメンバーを含む色々な人がチームの成長に貢献しているということを可視化することで,チームとしての成長を実感出来るようにした.
これが実際に期待する効果を生んでるか測定するのは難しい.
個人的には,効果以前の話で,product開発の現場では当たり前のようにQや半期単位で目標設定とその振り返りが成されているはず.チームに対しても当たり前に還元されるべき情報だと思う.
自分たちがどこに向かっているのか,向き先は正しそうか,大きなゴールに向けてチームが検査と適応の経過を振り返るためにも今後も提供し続けたいと思う.
「お前は何も覚えていないのよ――阿良々木。自分が何でできているかを知らないの」
まとめ
実施してきたトピックはスクラムの三本柱である「透明性」「検査」「適応」の何れかの思想に基づいている.
自分の振る舞いに落とし込むと以下のようになる.
- 透明性: 正しい情報をロギングしてSMとして次の行動が起こせる状態
- 検査: 現在の目的と,現状が明確化されていて,GAPを把握可能な状態
- 適応: GAPを把握した上で目標に近づくアクションを起こしている状態
そもそも自分はSMをやる気は全くなくて,どちらかといえば強烈に反発していた側の人間だった.*1
だが「人間の集合(チームや組織)をシステムやプロダクトとみなしてビジョンの実現確率を高めるロールである」と解釈できるようになってから随分マインドセットがましになった.
今の組織は兼業しか認めておらず,自分は50%の割合でSWEもやらざるを得ないのだが,兼業メリットは皆無であることも実感値としてよく理解した.*2
次は価値を認めてもらって,組織を変えなければならないフェーズなので今年も気を引き締めてやっていこうと思う.
Retrospective 2022
久しぶりに書く(仕事の事は別で書こうかな)
shopetan.hatenablog.com
買ってよかったもの
本
自分の中で打率が低い年だった…
漫画
- アオアシ(去年から通読してるけどずっと最高なので読んで)
- デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(最終巻も最高だった)
仕事
- LeanとDevOpsの科学(SMを任せられてから読んだ みんながこの手の指標が好きな理由は分かった)
- チーム・ジャーニー 逆境を越える、変化に強いチームをつくりあげるまで(自分たちは何者なのかがチョットワカル)
- Clean Agile 基本に立ち戻れ(「勇気」を「合理的なリスクを取ること」と表現している 自分の中の価値観と完全一致してて良かった)
- エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方(知識を得るためだけなら前半だけ読めばいい)
英語
- 英語のハノン 初級 ――スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル(2022年ベストバイ 愚直にこれだけやってれば良い)
- 基本文法から学ぶ 英語リーディング教本(文法事項をまったく勉強してこなかったので単に楽しい)
- 英文表現力を豊かにする例解和文英訳教本 公式運用編(まだ全然進んでない,writingがある程度出来る程度の文法力を獲得したい)
その他
- なめらかな社会とその敵: PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論(通して難解だけど分人民主主義の項目はかなり好きな価値観だった)
- ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力(概念だけ知ってればいいかも 流し読み向け)
投資/サブスク系
サブスクは前回と変わらない
- パーソナルジム(コロナで数年ぶりに再開した & 人生の中の健康の優先度を上げるために)
- CSM研修(過去参加経験のある方がトレーナーのebackyさんに直談判してくれて開催して頂いた.参加費用がマジで一瞬でペイした.会社ありがとう.【オンライン開催】Certified ScrumMaster®2022/11/28 - 12/02 2022/11/28 - 12/02|オッドイー)
- ABBYY Fine Reader(自炊業者で自炊 -> PDFをこれでOCRかけて全文検索 + コピペでAnkiにimportのサイクル)
- 物書堂の辞書(クリップボードにコピーすると自動で辞書を引いてくれる.めっちゃ楽しい.)
- ChatGPT(無課金だけど課金制になったらノータイム課金するつもり.これで英単語やフレーズの使用頻度を聞いたり,書き言葉話し言葉の有無を聞いたりすると脳内マッピングが捗る.)
音楽
好きなアルバム
相変わらず昔のばっかり聴いてる.
- 夜に魔法をかけられて / indigo la End(夜に聴きたい1)
- 渚にて / indigo la End(夜に聴きたい2)
- strobo / Vaundy(夜に聴きたい3)
- ソルファ / ASIAN KUNG-FU GENERATION(ラストシーンすこ)
- I loved you / 柿崎ユウタ(年の瀬に知ってしまった…めちゃよい)
リピート率順
- 春は溶けて / indigo la End
- 終点の先が在るとするならば。 / ツユ
- Enemy(with JID) / イマジン・ドラゴンズ
- 言って。 / ヨルシカ
- 黄色 / back number
- Cleric Beast / bloodborne サウンドトラック
- 花弁 / クレナズム
- 人生の針 / ゲスの極み乙女
- 東京フラッシュ / Vaundy
- 桃源郷とタクシー / Mega Shinnosuke
ライブ
- indigo la End(特に武道館が最高だった.普通に泣いてしまった.)
- ヨルシカ
プライベート
9月くらいからフラッシュカードアプリのAnkiを始めて,2000カードくらいは覚えた計算になる.基本サイクルは単語帳の単語を電子化しOCRで読み込み -> Ankiにインポート.英語のハノンも毎日1ドリル + 復習をAnkiで管理していて平均30分から1時間程度コンスタントにやってる.文法事項別にサーチアンドデストロイやってる感じ.
単語は金フレを終わらせて現在はDUOを投入しながら50%くらいの進捗率.他の本のドリルもやったりすると3時間以上平気でやってたので夏を境にゲームが全然できなくなった…
最近は意思疎通や正しいことを正しく伝える必要性が高く,英語が喋れないと明確に実害があるのでしばらくは継続予定.
あと最近あってない人とご飯行くのはやっぱりいいなと思ったので,大学以来会ってないみなさんもご飯行きましょう.では良いお年を.
クロスファンクショナルなチームでTLをして半年が経った
最近何してたの?
題目通りで,PO, PM, Branding team, Backend team, Client team, ML team, Scrum masterから成るチームのTLをしてた.直近だとコンテンツマーケティングに関わる方とも協業している.
どんな機能を作ってたかとか,何がどうなるみたいな話は当然ここでは出来ないので,ツラツラと気持ちの棚卸しをしたいと思う.
クロスファンクショナルとは
一般には「課題解決のために特定の役職にとらわれず必要なメンバーを集めて構成されるチームであること」だと思うし,ここでも同義として扱う.
今の社は基本的にどの部署も特定ドメイン単位で分割されているので,そのドメインでTLをすると言うことは必然的にクロスファンクショナルなチームでTLをすると言う事とほとんど同義になっている.
TLとは
特にこの言語定義は人によって異なると思うので予め自分自身が想定する単語とその認識をメモしておく.
個人的に解釈するのであれば ある特定の技術領域(任意の機能でもPlatformでも可)に関して,技術を駆使しオーナーシップを持って働ける人 だと思っていて,例えば「"その時々にあった正しいアーキテクチャの設計" ができ,"コードの品質管理" や "チームの生産性にコミットできる" のがTLである」と言うような表現は狭義的で好きではない.
オーナーシップを持つと言うところが大事で,それは当然技術的な意思決定に対してでも,メンバーとのコミュニケーションに対してでも適用されると思ってる.
これは特定の職位では無く役割,振る舞いの一つだと思うので,定義に則りオーナーシップを持って働くために必要なのであれば何でもすべきだと思う.
お気持ちまとめ
人が多いと大変
当たり前である.
当たり前なのだけど,大きなサービスになればなるほど一つの機能追加や実験がその関係者だけに閉じる現象はほぼ起きないと思っているので,「大変さ」についてもう少し要素分解したいと思う.
「人が多いと大変」に感じる理由は大きく分けると2つで「個々人がそれぞれ意思(意見)を持っている」ことと「ポジショントークが発生する」ことだと思う.
個々人がそれぞれ意思(意見)を持っている
何か1つの機能を作るのだとしてもその人ごとに「現時点で持っている解像度」や「今後将来にわたる展望」があるので今回のような複数の人たちがいたらまとまらない.
ただ,そこの事実を認識しているのであれば,大切なことは「その解像度と展望の擦り合わせ」である.
したがって,擦り合わせに非常に多くの時間を投資するのが大変と言う結論になる.時間がかかるものは大変なのでそれはそう.
ただし,TLであるならば,認識を共通化することが出来ないと別の誰かが同じ立場でTLを担う時にまともにワークできない可能性がある.
この投資は大事だと思うし,全てのメンバーが場合によってはTLを任されてもいいような状態になっている事を目指すのがオーナーシップを持っている状態だと考える.大変だ.
ポジショントークが発生する
これは先述した項目と要素が従属しているかもしれないが,大事なので書く.自分はこの点に関して楽観的に見積もりすぎていて後悔している.
組織に属する以上,何かしらの役職を持っているはずなのでポジショントークが発生することは仕方がない.
ポジショントークとうまく向き合うためには,その人の思惑を引き出し切ることでしか対処不可能だと学んだ.
こういったトークで必要なのは「新たに何かを提案する」のではなく「その人と交渉すること」なので,いかに相手の立場を理解し,いかに共感するように振る舞えるか,そしていかに受け入れてもらえるかだった.
例えば,技術的な「アーキテクチャの正しさ(質)」と「実装スピード」は一見短期的にはトレードオフに見える*1ため,PMと言うポジションから同じ物事を見た時には早く機能をリリースしたいと言うモチベーションが高まるのは当然なので,その共感をした上で説明をしないとお互い終わらないプライドバトルになってしまう.
オーナーシップを発揮するためにはこのような政治レイヤーまで介入していかないといけなかった.大変だ.
コンテキストスイッチの切り替えが大変
先述したTLとして振舞っているとあらゆる連絡が飛んでくる.
基本的な機能開発に関してのレビュー依頼やディスカッションはもちろんのこと,関連する他チームとのやりとり,長期的なロードマップへの雑談,各ポジションのメンバーからの要望,スケジュールの進退,突発的に発生した問題の対処,開発チーム内でのファシリテート…などなど.
「技術のみの連絡窓口」という振る舞いをすることも可能だったが,それは決して私の考えるTLではなかったので私に頼るべきと判断してくれたメンバーをリスペクトし真摯に対応した.
その結果として発生したのは過剰なコンテキストスイッチの切り替えとそれに伴う記憶喪失であった.
一日仕事して,次の日になると昨日何をやったのか忘れる.それが3ヶ月くらい続いた.もちろん仕事をしているので進捗自体は当然あるのだが,思い出すのに時間がかかる.
あらゆる人とあらゆるコンテンツについて常時議論をしているせいで,自分がその間にどのタスクを葬ったのか忘れてしまうのだった.
余談だが,よりハイコンテクストな領域にオーナーシップを持っている方達と定期的にディスカッションしていると「これなんの話だっけ?」みたいな事を聞かれるのが時たまあり,「この人の事信頼していいのか?」と思っていた時期もあったが,彼ら/彼女らは過剰なコンテキストスイッチの切り替えを行い続けなければならず,自分自身で記憶し続けるのが難しいのだと悟った.
これを防ぐために,付け焼き刃だがカンバンのチケットの大半を管理し常に最新の状態に遷移させる事で記憶を忘れても良い状態を作る事を心がけた.
他に提案してもらった方法として,Evilな方法であるが他者の外部記憶を利用することも方法として存在する事を知った.「他者に内容を伝えていれば自分が忘れていても必要なタイミングで再度連絡が来るため,結果存分に忘れられる」といった具合に.
何れにせよ,抽象領域が広くなればなるほど,(例えば実コードレイヤーのような)特定の事象にDeep diveするとその後別の事象にDiveするのがしんどくなるし,次々と忘れていくので記憶/記録方法に関しては学んだ方が良い分野だと感じた.大変だ.
まとめ
組織で目に見えたインパクトを出す仕事をするには政治レイヤーをやるのが当然大事で,その何をすべきなのかが分からない状態が分かるようになったのは経験として大きかった.
それから,「技術的に成長できるか否か」と「プロダクトとして貢献する」事には相関関係が全くないので,あくまでTLとして振る舞う割切りが大事だと思う.
振る舞いができないのであればメンバーが疲弊するので引き受けるべきではないし,仮に引き受けてしまっても振る舞いの話なので別の人に移譲できる状態であれば降りて良いと思った.
また,今回の件も自分と同じ境遇になる人はほとんど居ないと思うので,その人なりに役割を解釈して働けると良いと思った.サラリーマンは大変.皆様もご自愛ください.
Retrospective 2019
Retrospective 2019らしい 諸事情で一日執筆業をしているので簡潔にいく.
下記をリスペクトしてます.
https://www.notion.so/Retrospective-2019-abed5e48bc8e4f70a31544b9b3aba253
買ってよかったもの
エンジニア向け
筋トレ
- SBDのベルト(筋トレに3マン出せる人向け)
- パワーリフティングシューズ(2マン出せる人向け)
- SBDのリストラップ(6000円出せる人向け)
音楽
たくさん聴いたアルバム
- 逃した魚 / back number
- 幸せが溢れたら / Indigo la End
- だから僕は音楽をやめた / ヨルシカ
- ロンググッドバイ / きのこ帝国
- 泣きたくなるほど嬉しい日々に / クリープハイプ
リピート率順
- 言って. / ヨルシカ
- get the regret over / 片霧烈火
- Hitman / King Gnu
- 夜明けの街でサヨナラを / Indigo la End
- 天罰有れかしと願う / 神様、僕は気づいてしまった
- バッドフォーミー / Official髭男dism
- ロストエンファウンド / 有形ランペイジ
- さよならアイデンティティー / yonige
- Sunset Tea Cup / YUC'e
- Re:Re: / ASIAN KUNG-FU GENERATION
ライブ
- Indigo la End(2回)
- Official髭男dism
- King Gnu
- ヨルシカ
- コレサワ
仕事
技術スタックはかなり増えた.何個かリリースされた.
しかしQiitaの有象無象レベルの知識のものが頭の中に沢山ある.
来年は昇華(消化)が目標かな.
前の記事でも書いたが機械学習ってやつは入社してから2週間くらいしかしてない.
アカハラを受けたので筑波大学ハラスメント相談センターに相談した
この記事は 第二のklis Advent Calendar 2019 の25日目の記事です.
adventar.org
こんにちは klis13(slis17)の @ss_shopetan です.
カレンダーの5年目の投稿です.今年3月に卒業したので老害枠です.
昨年は減量記事を書きました.
shopetan.hatenablog.com
tl;dr
- 修士論文審査においてアカデミックハラスメントと思わしき対応を副査読者から受けた
- 修了式の日までハラスメント行為が続いたので,式典終了後に大学院学務と大学院専攻長に相談の上ハラスメント相談センターに相談した
- 研究科内に調査委員会が設置され事実確認のインタビューが行われた
- 研究科としてアカデミックハラスメント行為が認定された
- 主指導と副査読者に「厳重注意」という処罰がなされた
- 本件について大学から一般公開することは無いそうなので主観を除いた事実に基づいてフローを公開する
筑波大学ハラスメント相談センター
筑波大学では健康相談・キャリア相談・LGBT相談や留学生相談など学生や教職員,その家族に対して開かれた相談窓口があります.
ハラスメント相談センターは下記より相談することが可能です.
ハラスメント行為は被害者が泣き寝入りするケースもまま存在しますが,筑波大学ではハラスメントの対象は決まっておらず,どのようなハラスメント行為であっても相談が出来ます.
今回のケースでは,アカデミックハラスメントを受けたとして私より相談を依頼しました.
タイムライン
2019年
2月初旬 : ハラスメント行為が始まる
3月末 : 修了式まで続いたので大学院学務や大学院の専攻長に相談の上,ハラスメント相談センターに相談
4月 : 相談センターに相談内容が受理,「ハラスメント苦情記録票」をヒアリング等を受けながらエビデンスを基に作成
5月上旬 : 研究科内に本件にかかる調査委員会を設置される
5月中旬 : 調査委員会において調査方法を検討される
5月~6月 : 関係者への事実確認を開始された
7月~8月 : 調査結果の整理・突き合わせが行われた
9月 : 調査結果のまとめ、文言の修正を含む報告内容の精査作業がなされる
10月上旬 : 調査内容が相談者(私)に開示,調査内容を基に被害者(私)が調査と処罰に関して承諾をするか判断
10月中旬 : 本件終了の旨を相談センターに報告し一連の対応が終了
問題とされる行為について(概ね原文ママ)
- 修士論文の審査に伴い,本来の審査プロセスにない不適切な指導があった
- 主指導教員から「副査読者より,修士論文を3月末までに大幅に書き直すという確約書を提出するのであれば合否判断の材料にする」と伝えられる
- その3日後に修正版を提出するも「2,3日で書き直した修正版は見る価値がない」と口頭で伝えられる
- 伝えられた通り,修正版に目は通されず,「論文は不合格」として適切な審査へのフィードバックが行われなかった
- 修了式後に「論文は不合格であるため修正版は破棄して初稿に戻せ」という理解のできない命令があった
- 「建設的な審査ではないのではないか」という私の発言に対して「できの悪い学生に指導してやっている」といった横暴な発言があった
補足
- 研究科では2月上旬に修正を含んだ論文の最終締め切りがあるため3月末まで修正は物理的に不可能
- 「確約書を提出すれば審査含む締め切りが延長される」という概念はフローに存在していない
- 合否判定は「主指導,副査読者A,副査読者B」より行われ,私は「多数決で合格」とされた
調査委員会の結論
- 主指導と副査読者に「厳重注意」を行う
- 大学院として審査には初稿が扱うと決められていた
- 主指導は修正版を用いて審査を行って良いと誤認しており,指導学生(私)に論文修正を急がせ,この行為で指導学生にも誤認させてしまった
- 副査読者は論文著者(私)に対し申告された発言内容は確認できなかったものの,「バカ」などの横暴な発言をしたことが確認できアカデミックハラスメントとして認定する
所感
処罰について
お前の指導教員は適切なフローを理解してなかったし,副査読者は横暴でどっちも悪いから,両者「厳重注意」で手を打とうって言われた気持ちですね.
個人的に上記が同列とは思えませんが,確かにこうすれば喧嘩両成敗で丸く収まりそうなので良いと思いました.
論文について
「お前の論文がゴミだったのが発端」と言われるのも分かるので補足をしておくと,査読付き国際会議のワークショップで登壇した内容に新規の内容を盛り込んだ修士論文だったので,拒絶される程の論文ではなかったと思います.
所感なので所感を書きますが,論文や発表含めイチャモンと感じる指摘が多かったです.
- そもそも論文のフォーマットが違うとか(研究科がそもそもフォーマットを間違えてました)
- グラフのフォーマットが気に食わないとか(そうですか…)
- ページ数が少ないとか(研究科の過去の提出論文も確認しましたが,特別多いとも少ないとも感じませんでした)
- 紙面一面に大きく「?」とだけ書かれてたとか(何を伝えたいのか分かりませんでした)
- 発表当日に「英語で論文書いたなら英語で発表しろ」とか(そんなルールは存在しないし聴衆は全員日本人ですが…)
もちろん副査読者である以上,論文の指摘自体が問題ではないと思っています.
私はその後の対応や独自ルールが不愉快かつ,締め切りが迫っている他の学会の論文投稿に支障をきたしたのでセンターへ相談を行いました.
相談フローについて
大学機関なので長くなるのは承知でしたが半年以上待たされるとは思ってませんでした.
毎日報告しろとは思いませんが,事実確認(5,6月)から開示まで5ヶ月近く音沙汰が無いのは流石にどうかと思います.
また,こういった事案が公に開示されないのも如何なものかと思いました.学生の懲戒処分とかは内容が貼り出されるのにアカハラとかは特に無いんですね.
日本の大学でニュース沙汰になっているハラスメント行為のケースを度々見かけますが,ニュース沙汰か否か,学内開示等の閾値はどこで決まっているのか気になりました.
調査委員について
調査委員会は弊研究科で設置され,委員会のメンバーに第3者が存在しませんでした.
調査委員が関係者のみであると処罰内容の妥当性も気になってしまうので今後調査委員を設置する予定のある方はご考慮願います.
ハラスメント行為を受けていると感じたら
この経験から学んだことは,「音声・文面でのエビデンスをきちんと残す」ということでそれ以上でもそれ以下でもありません.
発言が確認できないと言われると「そうですか」となってしまうので,不穏な場面に日常的に遭遇している方はいつでも録音等できるように備えた方がいいと思います.
私は主にslack等のメッセージツールを利用しており,不穏な場面に遭遇した際はスクリーンショットを撮影するようにしています.(メールと違って簡単に修正できてしまうため)
また,この記事のタイムラインの通りですが,相談者は長いスパンをかけて問題と戦わないといけないので,残念なことですが合理的に考えると明らかに泣き寝入りした方が精神的にも良いです.
処罰の可否等を強く求めるのも不毛なので,もし問題に遭遇した際は淡々と処理できるメンタルで望むと良いと思います.
つまらない大人になった
長文を書けなくなった
Twitter症候群というわけでもなんでも無いが,長文を書けなくなった.
なんか1年間かけて長文を書けなくなってしまった. 長文で意思を伝えることに抵抗が出来てしまった.
— shopetan (@ss_shopetan) 2019年12月16日
原因はいくつかあると思う.
知的な便秘
実をいうと,新卒で入社してから機械学習というものをほぼしていない.論文の実験の追試はチョロっとやったりしたが,10日もpythonを書いていないと思う.
では一体何をしているかというとGoで1人Microservice書いてたりDataflowを利用するためにscala書いてたりした.
今はRecommendation SystemのPlatformチームで頭数に数えてもらえられるようにアレコレやってる.
1人でMicroservice開発してた時はProduction Deploy Readinessな状態にするために知るべき技術スタックが足りてなさすぎた事と,1人でやり切ることで技術的な成長はあっても他者から直接学ぶ機会がなく精神的に疲弊していた.
現チームは技術的に優れたメンバーが多く学べることが多いので精神衛生は良くなったが代わりに自尊心と自信は消滅した.
概念もやり方も知ってても,どんな方法を取ればベターなのか,まだまだ学ぶ中で詰められる余地があると思う.
完全に知的な便秘である.今はやれる事を淡々とやっていくだけ.このトピックは本旨とは逸れるのでまたいずれ.
責任が増えた
これも当たり前だが,仕事やりだしてから周りに迷惑をかけ無いかを意識するようになってTwitter含む公の場で不用意に発言出来なくなった.
自分なりの行動哲学があるので意見はどんなトピックにも持ち合わせているのだが,その意見が他者を傷付けることもあるはずなので基本的に思考を列挙することが出来なくなった.
大学生で特に失うものなくオラついてた時と違い,特定組織に属している以上は組織に愛着を持っているので基本的に沈黙が正になった.
代わりにSlackなどで噛み付いたりしていたが,やっても意味がないどころかマイナスなケースが多く今はそれもしなくなった.
それは必ずしもネガティヴではなくて、僕も徐々に一文一文が経験とともに慎重になってきた気がします。
— Shunya Kimura (@kimuras) December 17, 2019
確かに責任が伴うのは必ずしもネガティブでは無いので物は考えようだと学んだ.
力が足りない
前項と重複する部分があるのだが,自分の行動哲学や意志を持っていても物理的にも社会的にも政治的にも技術的にも及ばない点があるので.仮に長文で意志を綴っても決定事項を覆せるだけのパワーがない.
意志を無に還されるのであれば省エネな方がいいので1行ポエムで済ませるようになった.
社会にはシャオリーの使い手が多すぎる.
言葉に感情を乗せると損をする
基本的に言葉に感情が乗っていると損をするケースが多いのでやめた.
長文は特に「お気持ち」とも呼ばれるように多少なりとも感情が乗ってしまうので,力が足りない今現在でお気持ちを主張しても周囲にネガティブな影響を与えてしまう.
全員に好かれたいなどとは全く思っていないが,兎に角ただ損するだけなので長文は書けなくなった.
代わりに学んだ事
長文を書けなくなった代わりに学んだ事は,適切なタイミングで適切な人間にエスカレーションをする事.要するに政治.
子犬がギャンギャン鳴いてても誰も聞く耳を持たないし意味がない,
あとは自分自身で力を持つことが大事.別に政治をやりたい訳ではないので,その為には何らかの価値を発揮し貢献することが先決.なので兎に角今は淡々とやれる事をやり続けたい.
つまらない大人になった
こんなロクでもない事を学んでいるからつまらない大人になった. まずは物理的にパワーをつけてそんな自分を思いきり殴りたい.
ベンチプレス : 102.5kg
スクワット : 160kg
デッドリフト : 160kg
TOTAL : 422.5kg
来年は今より100kgトータルで重いものを持ち上げていきたい.