未来永劫

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アカハラを受けたので筑波大学ハラスメント相談センターに相談した

この記事は 第二のklis Advent Calendar 2019 の25日目の記事です.
adventar.org

こんにちは klis13(slis17)の @ss_shopetan です.
カレンダーの5年目の投稿です.今年3月に卒業したので老害枠です.

昨年は減量記事を書きました.
shopetan.hatenablog.com

tl;dr

  • 修士論文審査においてアカデミックハラスメントと思わしき対応を副査読者から受けた
  • 修了式の日までハラスメント行為が続いたので,式典終了後に大学院学務と大学院専攻長に相談の上ハラスメント相談センターに相談した
  • 研究科内に調査委員会が設置され事実確認のインタビューが行われた
  • 研究科としてアカデミックハラスメント行為が認定された
  • 主指導と副査読者に「厳重注意」という処罰がなされた
  • 本件について大学から一般公開することは無いそうなので主観を除いた事実に基づいてフローを公開する

筑波大学ハラスメント相談センター

筑波大学では健康相談・キャリア相談・LGBT相談や留学生相談など学生や教職員,その家族に対して開かれた相談窓口があります.

ハラスメント相談センターは下記より相談することが可能です.
ハラスメント行為は被害者が泣き寝入りするケースもまま存在しますが,筑波大学ではハラスメントの対象は決まっておらず,どのようなハラスメント行為であっても相談が出来ます.
今回のケースでは,アカデミックハラスメントを受けたとして私より相談を依頼しました.

dac.tsukuba.ac.jp

タイムライン

2019年
2月初旬 : ハラスメント行為が始まる
3月末 : 修了式まで続いたので大学院学務や大学院の専攻長に相談の上,ハラスメント相談センターに相談
4月 : 相談センターに相談内容が受理,「ハラスメント苦情記録票」をヒアリング等を受けながらエビデンスを基に作成
5月上旬 : 研究科内に本件にかかる調査委員会を設置される
5月中旬 : 調査委員会において調査方法を検討される
5月~6月 : 関係者への事実確認を開始された
7月~8月 : 調査結果の整理・突き合わせが行われた
9月 : 調査結果のまとめ、文言の修正を含む報告内容の精査作業がなされる
10月上旬 : 調査内容が相談者(私)に開示,調査内容を基に被害者(私)が調査と処罰に関して承諾をするか判断
10月中旬 : 本件終了の旨を相談センターに報告し一連の対応が終了

問題とされる行為について(概ね原文ママ)

  • 修士論文の審査に伴い,本来の審査プロセスにない不適切な指導があった
  • 主指導教員から「副査読者より,修士論文を3月末までに大幅に書き直すという確約書を提出するのであれば合否判断の材料にする」と伝えられる
  • その3日後に修正版を提出するも「2,3日で書き直した修正版は見る価値がない」と口頭で伝えられる
  • 伝えられた通り,修正版に目は通されず,「論文は不合格」として適切な審査へのフィードバックが行われなかった
  • 修了式後に「論文は不合格であるため修正版は破棄して初稿に戻せ」という理解のできない命令があった
  • 「建設的な審査ではないのではないか」という私の発言に対して「できの悪い学生に指導してやっている」といった横暴な発言があった

補足

  • 研究科では2月上旬に修正を含んだ論文の最終締め切りがあるため3月末まで修正は物理的に不可能
  • 「確約書を提出すれば審査含む締め切りが延長される」という概念はフローに存在していない
  • 合否判定は「主指導,副査読者A,副査読者B」より行われ,私は「多数決で合格」とされた

調査委員会の結論

  • 主指導と副査読者に「厳重注意」を行う
  • 大学院として審査には初稿が扱うと決められていた
  • 主指導は修正版を用いて審査を行って良いと誤認しており,指導学生(私)に論文修正を急がせ,この行為で指導学生にも誤認させてしまった
  • 副査読者は論文著者(私)に対し申告された発言内容は確認できなかったものの,「バカ」などの横暴な発言をしたことが確認できアカデミックハラスメントとして認定する

所感

処罰について

お前の指導教員は適切なフローを理解してなかったし,副査読者は横暴でどっちも悪いから,両者「厳重注意」で手を打とうって言われた気持ちですね.
個人的に上記が同列とは思えませんが,確かにこうすれば喧嘩両成敗で丸く収まりそうなので良いと思いました.

論文について

「お前の論文がゴミだったのが発端」と言われるのも分かるので補足をしておくと,査読付き国際会議のワークショップで登壇した内容に新規の内容を盛り込んだ修士論文だったので,拒絶される程の論文ではなかったと思います.
所感なので所感を書きますが,論文や発表含めイチャモンと感じる指摘が多かったです.

  • そもそも論文のフォーマットが違うとか(研究科がそもそもフォーマットを間違えてました)
  • グラフのフォーマットが気に食わないとか(そうですか…)
  • ページ数が少ないとか(研究科の過去の提出論文も確認しましたが,特別多いとも少ないとも感じませんでした)
  • 紙面一面に大きく「?」とだけ書かれてたとか(何を伝えたいのか分かりませんでした)
  • 発表当日に「英語で論文書いたなら英語で発表しろ」とか(そんなルールは存在しないし聴衆は全員日本人ですが…)

もちろん副査読者である以上,論文の指摘自体が問題ではないと思っています.
私はその後の対応や独自ルールが不愉快かつ,締め切りが迫っている他の学会の論文投稿に支障をきたしたのでセンターへ相談を行いました.

相談フローについて

大学機関なので長くなるのは承知でしたが半年以上待たされるとは思ってませんでした.
毎日報告しろとは思いませんが,事実確認(5,6月)から開示まで5ヶ月近く音沙汰が無いのは流石にどうかと思います.
また,こういった事案が公に開示されないのも如何なものかと思いました.学生の懲戒処分とかは内容が貼り出されるのにアカハラとかは特に無いんですね.
日本の大学でニュース沙汰になっているハラスメント行為のケースを度々見かけますが,ニュース沙汰か否か,学内開示等の閾値はどこで決まっているのか気になりました.

調査委員について

調査委員会は弊研究科で設置され,委員会のメンバーに第3者が存在しませんでした.
調査委員が関係者のみであると処罰内容の妥当性も気になってしまうので今後調査委員を設置する予定のある方はご考慮願います.

ハラスメント行為を受けていると感じたら

この経験から学んだことは,「音声・文面でのエビデンスをきちんと残す」ということでそれ以上でもそれ以下でもありません.
発言が確認できないと言われると「そうですか」となってしまうので,不穏な場面に日常的に遭遇している方はいつでも録音等できるように備えた方がいいと思います.
私は主にslack等のメッセージツールを利用しており,不穏な場面に遭遇した際はスクリーンショットを撮影するようにしています.(メールと違って簡単に修正できてしまうため)
また,この記事のタイムラインの通りですが,相談者は長いスパンをかけて問題と戦わないといけないので,残念なことですが合理的に考えると明らかに泣き寝入りした方が精神的にも良いです.
処罰の可否等を強く求めるのも不毛なので,もし問題に遭遇した際は淡々と処理できるメンタルで望むと良いと思います.