未来永劫

メリーバッドエンドが好きです.

退職エントリ

2017年にインターン生として入社し、7年ほどいた会社を2024年12月31日で退職しました。チラシの裏感覚で、頭の中で思い出したことをツラツラ残しておこうと思います。

Valueを愛していた

もちろん今でも「プロダクト」も「利用して下さるお客様」も「プロダクト成長に貢献する全てのメンバー」も愛していますが、私が最も愛していたのはValueでした。

社内ではいつからかValueが飛び交う事が少なくなり、Valueに感銘を受けて入社した自分にとっては少し寂しいものでしたが、今振り返っても非常に優れたValueであると感じます。Value以外にも、年齢や性別などにかかわらず1人のプロフェッショナルとして期待/評価するという価値観や姿勢も愛していました。自分が入社を決めた理由であり、退職を決めた理由でもあります。

ある時点まで、明確に「文化が組織構造を作る」が体現されていたと思っており、この当時の働き方はValueに則って組織構造や体制はガラリと変わるし、前Qから大きく方向転換し、全社で新しいことにコミットするような出来事などが印象に残っています。コロナ前後からはより分業的になり、体制や評価制度などもカチッとしたことで、世界的な環境変化に早く適応できていた一方でお客様に関係のない仕事が相対的に増えた事を覚えています。これは良い悪いではなく、環境に適応するための意思決定の連続の結果だと思います。私は幸運にも長期間在籍できたので、どのような環境を作るとどのような結果が生まれるのかが身を持って実感できたことは大きな学びでした。

今後、ミッションを実現していく上で個人を超えて集団がどのような活動デザインであればValueを発揮出来るのかや、集団を超えて組織レベルでどのような社会システムであればValueと成果が結びつくのか、など、昨年から今年にかけては本当によく考えていました。退職は個人的な理由なので割愛しますが、この辺りの価値発揮について折り合いがつかなかったのも原因の1つです。

チームを愛していた

紆余曲折あれど、新卒で入社後は組織図上では常に同じチーム(Recommendation Team)に所属していました。チームの立ち上げ期から5年間同じチームで活動していたことになります。通常、どのような規模の会社であってもチームは頻繁にスクラップアンドビルドされることが多いと思います。推薦ドメインのエンジニアとして、5年間一貫して商品推薦やHomeという「お客様が一番に訪れる面」を継続して考え続けられたのはSWEとして大きな財産だと感じています。また、SWEに閉じない観点では、チームが長寿命であることがOutcomeを実現するという観点で紛れもなくハイパフォーマンスであることを身を以て学べたことも大きな財産です。多くの組織は「作業/Projectに合わせてチームを再編成」しますが、「チームに合わせて作業を再編成」することが学術的にも経験的にも再現性を持って成功し続けるために不可欠だと確信しています。

また、チームメンバー組織内での異動こそあれど、最初の1年の過度期を超えてからはチームを辞めて会社を退職したのは私がはじめてでした。(チームの異動後に退職された方は1名いましたが、それでもわずか1名です。) 平均勤続年数が短い業界の中、多くのチームメンバーと長期間共通のコミットメントを発揮し続けられたことや、チームの全メンバーが顧客価値を考えて常日頃から議論していた姿を私はとてもリスペクトしていました。また、Home画面自体の成長が売上に大きく寄与するところまで実現できたことも、全員が成長とお客様への価値提供のために能力向上を惜しまない姿勢が生んだと思っています。過度期はしんどい思い出ばかりでしたが、同じチームに在籍し続けることができて幸福でした。同じ形を守り続けてくれた多くのステークホルダーにもありがとう!と感謝したいです。

学び続けること

他にもエンジニアとして辛かったこととか、仕事をしていて辛かったこと・印象に残っていること様々ありますが、入社後から大きく変わったのが「学習」に対する向き合い方です。

特にインターン時はMLエンジニアとして、MLモデルの論文を色々読んだりモデルの構築に関心がありましたが、MLOpsの仕事を任されてからはソフトウェアとしてそれらを運用していくことに関心が向き、自分の中で方向性が大きく変わったなという事を覚えています。その後はMicroservice化に伴うMigrationや、推薦チームの立ち上げのためにチームで安定したElasticsearchの運用や、ESを乗せるためのk8sの運用など、そもそもMLから関心が離れてSWEの領域により学習労力をかけるようになりました。とはいえ、当時は無気力で、「多くの優れたエキスパートがいる中、軸のない学習内容によって一体何者になれるのだろうか」と鬱屈とした気持ちになっていました。

私にとって転機となったのがチームのスクラムマスターを打診されたことでした。当時はあまりスクラムそのものに良いイメージを持てていなかったし、世間を見ても彼等はprocess czarに感じていました。学習を進めた結果、今度は全く異なる説明責任や必要な能力の違いに困惑し、役割を真に体現するためには一体どれほど努力すれば良いのだろうと途方に暮れた事を覚えています。しかしその後も腐らず学習を続けていたことで科学的な態度で役割に向き合うことが出来ましたし、集団の振る舞いもエンジニアリングの一貫として捉えることが出来ました。今までのバラバラな学習内容が、ある時、実は地続きであり、「点」の学習が「線」や「面」になるのだと実感できた瞬間が訪れたのです。こうした経験の結果、価値創造のためには「学習する領域や内容にはこだわりなんて持たないほうが良い」こと、「内容よりも、学び方や学び続ける姿勢と、学ぶ機会が適切に訪れるように環境を設計する方がより大事」であることが理解できました。この経験は何にも代えがたく、現在の自分の振る舞いを決定づけた出来事で、「学習」に対する向き合い方は今後も大切にしていきたいと思っています。

Bye!

というわけで、7年も居たので他にも語りたいこともありますが、辛気臭いし振り返りはこのくらいにしておきましょう。新天地の報告は年明けに!それでは良いお年を!

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